3月に入り、いろは堂のショップに新しいカテゴリの商品を追加しました。商品は、石粉粘土という素材を使って制作された猫たちです。

高橋理佐さんの作品。高橋さんは約20年ほど粘土猫の作品を作り続け、各所で個展を開いたり、カルチャーセンターなどで粘土猫の制作教室を開催しています。昨年は初めて海外、台湾で教室を開催して好評だったそうです。

高橋さんの作品には、昨年の9月28~29日と伊勢のおかげ横丁で開催された「来る福招き猫まつり」で出会い、面白い作品だなと印象に残りました。その翌週に電子メールで作品の販売のお手伝いをお願いする電子メールを出したところ、ちょうど東京・谷中の「ギャラリー猫町」で個展を開催しているのでどうですか、とお誘いいただいたのでお邪魔し、作品を見ながらお話しをさせていただきました。その後、電子メールでやりとりし条件など確認した上で、作品の販売を了解していただきました。

現在、ショップで販売している九谷焼の招き猫は、昔ながらの縁起物として重厚な存在感があります。これらの猫は、置物として静的な存在です。一方、高橋さんの猫たちは、ダイナミックです。ひとつひとつに表情があり、猫のさまざまな特徴をよく捉えています。そして、ひとつひとつの作品にテーマがあり、その造形とタイトルの組み合わせがオモシロイ。一瞬で笑わせてくれたり、一瞬、ええっと… となり、しばらくして、ああと納得するといったこともある。そんな作品がいくつもあり、楽しい。

先日ショップへのアップロードが完了して公開した数点の作品は、高橋さんの作品としては初期のもので、ダジャレの色はまだそれほど存分には発揮されていない、比較的おとなしい猫たちです。今後、多彩な作品をご紹介できると思いますので、お楽しみに。


これらの猫たちは、いろは堂の海外向け英語サイトでも販売していますが、日本語のダジャレを海外の人に理解して笑ってもらうのは、かなりハードルが高い、というか、直接的には理解してもらえないものがほとんど。

例えば、Amazonの梱包箱の空き箱に入ってスヤスヤと寝ている猫の日本語タイトルを高橋さんは「Nyamazon(ニャマゾン)」と付けています。我々なら説明するまでもなく、猫の鳴き声は「ニャー」なので、ニャマゾンでなんなく理解できる。アマゾン⇔ニャマゾンで語感もピッタリ。問題なし。しかし、英米人は、猫の鳴き声が「ニャー」とは聞こえていない。彼らにとって猫は「ミュー」とか「ミャーオ」みたいに鳴いているのだ。英語で書けば「Mew」や「Meow」だ。つなげると「Mewzon」もしくは「Meowzon」で、ミュウゾン vs アマゾン、あるいはミャオゾン vs アマゾン、でお話しならない。全然ダメ。でも仕方ないので英語版ではこの猫のタイトルは、とりあえず「Meowmazon」とやっている。なんだかなぁ… 

担当の Don ともちょっと検討してみたいけれど、このアプローチだとどうしようもなさそうだなぁ。

言語の違いで、せっかくの面白いダジャレが通じないのは、悲しい。ロシア語では猫はどんな風に鳴くのだろう、ペルシャ語では? と疑問はつきない。調べたらこんな例が出ていた。そこそこ似ている。日本語と韓国語だけ始まりの音が違う!しかし、ニャマゾン – アマゾンの語呂の良さはどの言語からも得られない。

ロシア語 ⇒ мяу (myau / ミャーウ)
フランス語 ⇒ miaou (ミャウ)
スペイン語⇒ miau (ミャウ)
ドイツ語⇒ miau (ミアォ)
イタリア語⇒ miao (ミャーオ)
中国語⇒ 喵 (ミャオ)
韓国語⇒ 야옹 (ヤオン)

これは単に鳴き声の問題だけれど、もっと根本的に、文化の違い、特定の概念が存在しないため、まったく意図が通じないケースばかりというのが正直なところ。

でもまあ、そんな違いが面白いということでもある。とにかくこれらの猫作品とダジャレを七転八倒しながらがんばって世界中の人に紹介していってみようと思っています。◆