感情を示す言葉(感情語)はNG

またやってしまった。これまでも何度かご指摘をいただいているのですが、また感情語を使ってしまった…

「感情語」とは、美しい、楽しい、嬉しい、麗しい、悲しい、苦しい、汚い、無情だ、泣きたいなどの感情を表現する言葉のこと。俳句では、こういう感情を直接示す言葉は出来るだけ控える方がよいとされています(特に初心者は)。作者が「美しい」と詠んでしまうと、読み手はそれ以上想像力を膨らませることができなくなるからです。

感情を示す言葉を使わずに、その感情を想い起こすような情景なり事物を描くことによって、読み手にその感情を感じ取ってもらうように詠むことが俳句の基本とのこと。「美しい」と自分の感情をもろに出さずに、「さぞかし美しいだろうな」と読者が想像できるような表現をするということです。

さて以下は、冒頭の「またやってしまった」私の句です。

薮中に咲くや孤高の白き梅

近所の森林公園を散歩中、薄暗い薮の中にぽつんと咲いている真っ白な梅の花を発見した時の句です。あ、梅の花だ、と気づいた瞬間、その気高さと清らかさに孤高という言葉が浮かび、ピッタリの表現ではないかと、読み込んだのです。句会で先生に「孤高と言いたいところですが、感情語はできるだけ控えて」とのご指摘を受けました。あぁ、またやってしまった、というわけです。

薮の中に梅が咲いている、その実際の景色を表現すればいい。あとは読み手にお任せするだけ。そしてもし孤高を感じていただけたら、それはそれで密かに喜べばいい。

先生に添削いただき、孤高大樹にしました。

薮中に咲くや大樹の白き梅

感情語は控えて、思いはぐっと胸に秘めて。