真心を包む

結婚と言えば、皆様、お祝いにはどんなものを贈られますか?
ペアのワイングラスやコーヒーカップ、夫婦茶碗でしょうか。私もこういったものを頂き、今でも大切に使っていますが、ひとつ印象的だったものがありました。「家庭を持つのだから、こういうものを是非ひとつ持っていなければいけないよ」と言われて伯母からもらった風呂敷です。よそ様へ何か持ってご挨拶に伺うときにはきちんと風呂敷で包んで持っていくものなのだと。

風呂敷銀座の有名店のものだということで、手触りのいい上品な風呂敷でした。「なるほど、そういうものか」と思ったものの、私はかなり不器用なほうなので包むのもうまくありません。でも、四角い箱でも瓶でも丸いスイカでもいかようにも包めて、用が済めば小さくたたんで持って帰れる、そしてゴミにならないこの日本古来の風呂敷は確かに実用的です。紙袋につっと入れて、下手をするとそのまま先方にお渡しするといったようなのは無作法だろうし、第一、粋ではないでしょう。ここは頑張ってこの風呂敷を使いこなせればきっと格好がいい…。

とは言っても、お中元やお歳暮を贈るというような風習のない自由な気風の会社に勤め、普段の生活でも友達同士では簡単に手渡ししてしまうことが多かったし、その上、たまに目上の方へ贈り物をする場合でも、持参するより宅配便で送る世の中ですから、あまり使わずにここまできてしまいました。それにあの風呂敷、私にはもったいないような気もしていたのでした。

でも、もうあれからずいぶんと年月が経ち、私もそろそろこの風呂敷というものを本気で使おうかなと思うようになりました。「高価なものほど大事にしまっておいてはもったいない」と今日、たまたまお会いした方がおっしゃってました。確かにそうですよね、私の風呂敷ももっと使いこなしてやらなければ…。環境問題が重要な課題となった今、先人達の知恵を活かして日々の生活に役立てていければ、これも1つの環境保護活動になるかもしれません。