漆器。普段の暮らしに

今年もあっという間にお正月が通り過ぎっていってしまいました。なぜだか年々お正月が「らしく」なくなってくるようで… 
我が家では今年はとうとうおせち料理は一品も作らずじまい。おせち料理を作らない年末はとっても楽だけど、元日の朝食卓の上に重箱が載っていないのはちょっと淋しいかな。そういえばもうずいぶんと重箱の出番がないことに気が付きました。キッチンの棚にしまい込まれたままもう何年になるでしょう。

漆器、漆器、漆器なぜか漆器は格調高く、特別な日の器と思いがちで、重箱も蓋つきのお碗もしまい込んだまま。しかも使った後の洗い方や手入れなどが面倒なのでついつい敬遠してしまいます。しかし漆器は本来堅牢で実用的な器のはず。古代、木の器を長持ちさせるために表面に漆(うるし)を塗って木の地を保護し丈夫にしたのですから。そういえば「縄文時代の遺跡から出土した漆塗の櫛や器は五千年のときを経てなお鮮やかな朱色をしていた」という記事を何かの本で読んだことがあります。そうか、それほど神経質になることないのかな。それよりもしまったままのほうがもったいない。敬遠していたら、漆の艶の美しさも、器のぬくもりも楽しめないまま死物と化してしまうかもしれない。

大切にする気持ちを忘れないで、気軽に使ってみましょうか。
大好きな K さんに内祝いにいただいた森英恵さんブランドの蒔絵風のお盆と朱色の鉢。モダンな小鉢は秋田の川連(かわづら)漆器。和菓子をいただくときのナイフとスプーンもありました。それから毎日使っているお碗。ぬるま湯で洗った後やわらかい布で拭いていると、なんだかわたしの気持ちまでやさしくなってくる気がします。