沖縄の衣装というとどのようなものが思い浮かぶでしょうか。首里城を訪れると、独特の衣装を身にまとった女の人たちを目にします。いっしょに記念写真を撮らせてもらったり、中には衣装を借りて写真を撮ったりできるところもあるようですが、この衣装とはおもに赤や黄の地に細かい紋様が入ったあでやかな着物です。本州などのいわゆる内地ではあまり見ないようなこうした布は、中国や近隣諸国との交易を通して文化を育んできた沖縄ならではのものだと言えるでしょう。

琉球紅型の風呂敷とコースター
これは、麻や綿、絹、ときには芭蕉布などの素材に「紅型」(びんがた)と呼ばれる染色を施したものです。染色された糸を布に織り上げていく方法ではなく、織り上がった布を染めていきます。琉球紅型は基本的には型染めであり、布の上に型を置き、その上から糊を引きます。風呂敷や舞台幕などには筒描きと言って型を使わずに糊を直接置いて模様を描いていく方法もあります。いずれの方法も糊の間に手作業で色を差していくところが特徴で、型染めであっても1つ1つの作品が全く同じにはなりません。

紅型は琉球王朝時代には王朝の礼服などに使用され、一般庶民には祝着としてしか許されていませんでした。王朝では身分や年齢などによって柄の大きさや地色などが違っていたそうです。また、一度使用した図案は王家に返さなければならなかったという話もあり、紅型の着物を一着作るには途方もない手間と時間がかかったことが想像されます。手の込んだ型を彫るにはときには何日もかかりますし、また色を手差ししていくにも膨大な時間がかかったことでしょう。

第二次大戦時に壊滅的な被害を受けたものの、伝統を受け継ぐ人々が物資が不足するなかで紅型の復興を目指し、力を尽くしました。現在では紅型の工房も増えて、Tシャツや風呂敷、コースターなどお土産品として購入できる小物類も多彩になりました。紅型の着物はちょっと無理でも、こうした小物で沖縄テイストを気軽に味わうのもいいですね(写真は私のお土産、上から風呂敷、風呂敷の柄拡大、コースター)。独特の色と柄とが醸し出す美しさは沖縄らしさに溢れています。