山笑ふ ― 恥かしながら初めて聞いた日本語でした。山がワハハと笑うわけではないし、山が笑うってどういう意味なんだろう?

草木が萌え始めた春の山。花が咲き鳥がさえずる春の山。生気あふれる明るい春の山のこと。

俳句では春3月の季語となっています。「なるほど」とは思ったものの、なかなかイメージがわきません。山笑う、山が笑う、春が来て山も喜んでいるっていう感じかなぁ。
たまたま丹沢に近い町に行く機会があり、電車の窓に広がる山々が眼の前に迫って来たとき、これだ、これが「山笑う」だと実感。木々の新芽がびっしりと芽吹き、まるで五分刈りの小学生の頭が並んでいるよう。思わず微笑んでしまい、ウキウキした気持ちになりました。

「新しきパンプス跳ねて山笑ふ」

春用に買っておいたパンプス。初めて履いたちょっと心躍る気持ちを詠んでみました。

季語は季節を象徴的に表す言葉。その季語からどんなイメージを連想させるのか。どう膨らませたらいいのか。とにかくたくさんの方々の作品に触れてみよう。

参考:「山笑ふ」は、中国の山水画家の郭熙の言葉に由来。
『臥遊録』の「春山淡冶にして笑うが如く、夏山蒼翠にして滴るが如く、秋山明浄にして粧うが如く、冬山惨淡として眠るが如し」という一節に由来しているそうです。